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研究内容紹介

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社会福祉の法と理念

氏名
西村 淳
所属
社会福祉学科
研究分野
社会保障法,社会福祉政策
キーワード

年金,社会福祉,社会保障法

取り組み内容

社会保障法は、社会福祉、所得保障、医療などを取り扱う社会法の1分野です。理念としては憲法25条(生存権)を直接的な根拠としつつ、個人の主体的な生の追求を可能にするための前提条件の整備を目的として行われる給付や負担等を規律する法であるとされています。こうしたアプローチから、①年金を中心とする所得保障制度に関する研究、②地域ケアと市民参加?専門職に関する研究、③社会保障の規範的理念に関する研究をおこなっています。

 

①年金を中心とする所得保障制度に関する研究としては、イギリス?オーストラリア両国の所得保障を中心に、制度に内在する所得保障の権利の規範的基礎として、雇用を中心とした「参加?貢献」を抽出しました。わが国においても、これまでの生存権思想を補完し、乗り越える新たな制度理念として、参加?貢献が立法?政策指針となることを提唱しています。現在は、年金のみならず、高齢者の所得保障制度全体の制度体系論の研究を行っているほか、生活困窮者支援の研究にも着手しています。②地域ケアと市民参加?専門職に関する研究としては、地域における社会福祉サービスへの市民参加の観点から、地域ケアの制度と権利構造の分析を行い、住民の権利の可能性と専門職のあり方を研究しています。③社会保障の規範的理念に関する研究としては、個別の法制度や政策動向を超えた規範的理念を合意するための理論的作業として、ケア論や市民社会論などを参照しながら、「参加」の理念が社会保障を通じた法理念になりうるかを検討してきました。今後も、生存権論を乗り越えた新たな社会保障の法理念構築のための理論を探求していくとともに、経済成長下の弱者保護を中心としてきたこれまでの社会保障法学の見直しにもつながる社会保障全体の法体系論の再構築の作業を行いたいと考えています。

 

研究実績

主な著書として、西村淳編著(2016)『入門テキスト?社会保障の基礎』東洋経済新報社/西村淳編著(2016)『公共政策学の将来』北海道大学出版会/西村淳編著(2015)『雇用の変容と公的年金』東洋経済新報社/西村淳(2013)『所得保障の法的構造』信山社/西村淳(2010)『社会保障の明日(増補版)』ぎょうせい、主な論文として、西村淳(2020)「福祉サービス提供過程の法的分析―ソーシャルワーク法試論」年報公共政策学第14号/西村淳(2019)「高齢者の所得保障と法」社会保障法第35号/西村淳(2019)「ケアの倫理と関係的権利に基づく社会保障制度の構想―イギリスのケア法制を手がかりに」年報公共政策学第13号/西村淳(2019)「ソーシャルワーカーと法の関係に関する日英比較—ソーシャルワーカーの実践?教育?役割に着目して」社会福祉研究第134号/西村淳(2019)「高齢者の所得保障制度体系の検討」日本年金学会誌第38号/Jun NISHIMIRA(2018)‘Inclusion of Local Residents by the Integrated Community Care System’ Journal of Japanese Law Volume 23 No.45/西村淳(2018)「参加支援の観点から見た社会福祉の法体系論」神奈川県立保健福祉大学誌第15巻第1号/西村淳(2017)「市民社会と地域福祉」年報公共政策学第11号などがあります。

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