主に過栄養が原因で起こる脂肪肝の一部は、肝炎(NASH)から肝硬変?肝がんまで進行してしまう可能性があります。これまで、重症化する肝疾患といえばウイルス性肝炎(B型肝炎やC型肝炎など)が原因のものが多く、その対策に重点が置かれていました。しかし、治療の進歩によりウイルス排除が容易になり、今ではNASHが原因の肝硬変?肝がんが増えています。NASHはインスリン抵抗性(糖代謝異常)をベースとした多因子性の肝疾患であり、その発症機序や予防法?治療法は未だはっきりしていないのが現状です。私たちはNASH病態モデル動物を用いて、アミノ酸代謝異常やディスバイオシス(腸内細菌叢のバランス破綻)などの病態に関する研究、予防に有効な栄養素(アミノ酸[BCAA]、希少糖[D-アロース]、食物繊維[WSCA; water soluble cellulose acetate])や運動に関する探索研究を行っています。
文献:Iida A, et al: Analysis of amino acid profiles of blood over time and biomarkers associated with non-alcoholic steatohepatitis in STAM mice.Exp Anim. 68: 417-428, 2019
飯田他: 分岐鎖アミノ酸投与がNAFLD/NASH病態モデルマウスの肝脂肪蓄積に及ぼす影響. 機能性食品と薬理栄養. 12: 243 – 250, 2019
特許6391959:非アルコール性脂肪性肝炎の改善剤および改善用栄養組成物.