「Library Letter」は、図書室からの情報発信を目的に、教員や司書からのおすすめ本や調べ物に役立つミニ情報などを紹介します。
所蔵している資料については、OPACへのリンクを表示します。附属図書館で所蔵している資料は、取り寄せが可能です。
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戻るシリーズ ケアをひらく(医学書院)
「シリーズ ケアをひらく」は、「科学性」「専門性」「主体性」といったことばだけでは語りきれない地点から、<ケア>の世界を探るシリーズです。2000年に発行された「ケア学 越境するケアへ」に始まり、全49冊(2024年11月時点)が発行されています。 医療の専門家以外からも評価されており、2019年にはシリーズ全体が毎日出版文化賞を受賞しました。 2024年11月現在では、実践教育センターには27冊所蔵しています。 また、雑誌「精神看護」27(2)では、シリーズ担当編集の白石正明さんによる全43冊の解説が掲載されています。 以下に司書3人の選んだおすすめの本の紹介を掲載します。
『食べることと出すこと』頭木弘樹著 医学書院 2020年
難病である潰瘍性大腸炎が発症した著者は、厳しい食事制限と下痢に苦しむことになります。絶食後に食べたヨーグルトで感じた味の爆発や、食べられないのにお供えのように目の前に置かれる料理、外出時のままならない便意についてなど。病院や日常での様々なエピソードを、カフカをはじめとした文学作品を引用しながら綴っています。【司書:山本】
『どもる体』伊藤亜紗著 医学書院 2018年
「吃音」を原因や治療法ではなく、千差萬別な身体経験として探究した一冊。そもそも人はなぜしゃべれるのかを考えさせられます。非当事者側の「こちらの体も引き込まれる感じ」という体験談も興味深いです。【司書:相原】
『在宅無限大 : 訪問看護師がみた生と死』村上靖彦著 医学書院 2018年
訪問看護師の語りをもとにした在宅医療の記録と分析。「だらしなさ」もQOL(生活の質)の一つして認めるなど、病棟や施設の管理下とは異なる看護が描かれています。「分からないまま引き受ける」というある看護師の実践が印象に残りました。【司書:相原】
『居るのはつらいよ:ケアとセラピーについての覚書』東畑開人著 医学書院 2019年
「精神看護」連載時のタイトルは、「ふしぎの国のデイケア」。
大学院卒の臨床心理士がウサギ穴に落ちてたどり着いた先が、沖縄のデイケア施設。そこでの日常を描いた4年間。「ケア」と「セラピー」。「いる」と「する」。それらを物語風に表現した「ガクジュツ書」。
第19回大佛次郎論壇賞、紀伊國屋じんぶん大賞2020、受賞作品。【司書:松下】
『あらゆることは今起こる』柴崎友香著 医学書院 2024年
長い年月疑い続けてきたADHDの診断を受け、服薬したことにより「36年ぶりに目が覚めた」小説家。「過去」「現在」「未来」が並んでいる平行世界を、ADHD当事者として体験した視点で綴られているエッセイ。【司書:松下】