栄養領域 遠又靖丈
学部?大学院Department
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「このサービスにはどのくらいの効果が期待できるのか?」「この栄養状態であると健康状態がどのようになると予測されるのか?」といった仮説を検証するための分析疫学の研究を行っています。当研究室の教育目標は次の2点です;①疫学研究の論文を読みこむことができ、その情報を系統的に整理できる。②統計解析を行い、その結果の質を吟味できる(分析疫学的な検討)。「情報を収集し、吟味し、活用できる」というEvidence-Based Practiceを体現できる専門職をこえて、「研究仮説に合ったデータを整備し、解析した結果をまとめ、原著論文を書き、後世に知見(Evidence)を残すことができる」という専門家?先駆者(リーダー)を養成したいと考えています。
研究テーマ
1 保健医療福祉サービスの評価に関する疫学的研究
分析疫学的な手法を応用して、保健医療福祉サービスの評価に関する研究を行います。特に、介護保険制度をはじめとする高齢者の栄養や口腔に関するサービスのスクリーニングや効果評価に関する研究に取り組んできました。例えば、本学では15年以上にわたり「栄養管理のシステムや制度、栄養専門職の職能はどうあるべきか?」について追求するための栄養ケア?マネジメントの調査研究に取り組んできた実績があります。科学的根拠に基づく政策立案(Evidence-based Policy Making)を助ける研究を行っていきたいと思っています。
2 老化における栄養学的な予防因子に関する疫学的研究
「どのような栄養状態の人、どのような食事をしている人が、健康長寿を実現しやすいのか?」といったことを解明するための疫学研究を行っています。生活機能低下?認知症?frailtyなどに関するコホート研究やMendelian randomization法を用いた研究を行ってきました。
3 食事パターンに関する疫学的研究
食事の総体的な特徴をとらえるための食事パターンの研究を行っています。日本食パターンに関する研究などを行ってきました。
お知らせ?活動報告
●青野さん&牛尾さん(学部ゼミ生)の卒業論文研究の成果が「Nutrients」に掲載されました。
題名:Japanese Diet Indices and Nutrient Density in US Adults: A Cross-Sectional Analysis with NHANES Data
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39125312/
●大田さん(大学院修士課程)の研究成果が「日本栄養士会雑誌?」に掲載されました。
題名:介護保険施設における管理栄養士の栄養専門資格と栄養関連加算算定との関連の検討
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjda/67/8/67_408/_article/-char/ja
●「食と医療」30号(2024年7月)の特集記事に掲載されました。
題名:魚の摂取と認知症発生との関連
https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000398009
●神奈川県の「高齢者の保険事業と介護予防の一体的実施」に関する研究成果を「22nd International Congress of Nutrition (ICN Tokyo 2022)」で発表しました。
シンポジウム名:Nutritional Risk in Older Adults (CS22)
題名:Effect of Japanese Malnutrition Prevention Program Among Community-Dwelling Older Adults
https://icnd2024.ca/wp-content/uploads/2024/06/ICND-Abstracts-for-Oral-Sessions.pdf
●阪野さん(学部ゼミ生)の卒業論文研究の成果が「Medicine」に掲載されました。
題名:Trimethylamine N-oxide and risk of inflammatory bowel disease: A Mendelian randomization study
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37653747/
●野村さん(学部ゼミ生)の卒業論文研究の成果が「J Affect Disord」に掲載されました。
題名:Polyunsaturated fatty acids and risk of anorexia nervosa: A Mendelian randomization study
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36907461/
●青野さん(学部ゼミ生)の卒業論文研究の成果を「22nd International Congress of Nutrition (ICN Tokyo 2022)」で発表しました。
題名:The Japanese dietary pattern and nutrient density: A cross-sectional analysis of NHANES 2017-2018
https://confit.atlas.jp/guide/event/icn2022/subject/PAB_T6_-197/category?cryptoId=
●原さん(学部ゼミ生)の卒業論文研究の成果が「保健医療科学」に掲載されました。
題名:日本におけるCOVID-19感染拡大後の外出自粛と体重増加との関連
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jniph/71/4/71_357/_pdf/-char/ja
受験生へのメッセージ
大学院教育で私が大事にしたいと思っているのは、日々の実践活動や観察?推察から生まれる素朴な疑問です。疫学はこうした疑問を確かめるための1つの手段であり、疫学を武器にして自分の専門分野で活躍できる人材の育成を支援できればと思っています。疫学やデータ分析というと難しいイメージもあるかもしれません(確かにかなり奥深いですが)。しかし、データから確かな情報を導き出して提供することができれば、より確実なサービスや提言につながるので、自信や仕事のやりがいだけでなく、社会貢献にもつながるものと思っています。だから、疫学が分かってくるほど面白い、と思っています。