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戻る神奈川県の就労女性に対する運動促進プログラムによる行動変容の要因について、ポスター発表を行いました
戻る女性の健康プロジェクト(リーダー 吉田穂波教授)では、女性が働きやすい環境の実現に向け、就労女性の働き方?生活習慣と健康との関連に係る調査研究を進めています。
活動の一環として、2月12日(水)から14日(金)までに開催された、第35回日本疫学会学術総会にて、「就労女性に対する運動促進プログラムによる行動変容の要因研究」と題するポスター発表を行いました。
2月初旬の学会発表では介入効果を明らかにしたのに対し、今回の発表では介入効果の定着と継続要因について明らかにしました。

【発表概要】
演題名 | 就労女性に対する運動促進プログラムによる行動変容の要因研究 |
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背景 | 女性は男性より筋骨格系疾患の有病率が高く、運動による介入効果が期待されているが、働く年代の女性の運動習慣は低い(20~64歳で23%:国民健康?栄養調査R4年)。神奈川県は働く女性に対して運動プログラムを提供する職場訪問エクササイズ事業を2023年度に実施した。事業の調査結果より運動習慣の向上?定着率とその要因を検討する。 |
目的 | 就労女性における運動習慣の向上?継続の要因を明らかにする。 |
方法 | 神奈川県内35事業所が参加し、計390名の参加希望従業員が対象となった。週1回(30分/回)、計5回の運動プログラムを対面とオンラインで派遣インストラクターが提供した。プログラム開始前、終了時、2か月後の3時点で身体の状況、運動習慣や意欲を調査した。運動習慣を頻度スコア化し、開始前に比べ終了時及び2か月後にスコアが増加または高スコアのまま維持された参加者を「運動習慣増加維持群」、それ以外を「非増加群」として比較した。 |
結果 | 3時点の調査に全て回答した319人は運動習慣の増加維持群173人と非増加群146人に分けられた。増加維持群は非増加群に比べ、プログラム開始時の腰痛得点が低く(Wilcoxonの順位和検定でp=0.0197)、運動意欲得点が高かった(p=0.0400)。運動習慣頻度と肩こり得点、関節痛得点の開始時点における差は示されなかったが、いずれの疾患得点も終了時、2か月後には各群において有意に低下した(Wilcoxonの符号順位検定でp<0.05)。非増加群は運動の必要性を感じても実行できないと回答するものが多い傾向で(51%、カイ二乗検定p=0.053)、その理由として「疲れている」が最も多かった(81%)。一方、増加維持群は「気軽な運動方法がわかること」を運動習慣に必要な環境条件として挙げ(50%)、非増加群(32%)に比べ有意に多かった(p=0.001)。 |
考察と結論 | 働く女性に対する職場訪問エクササイズ事業は、運動習慣の開始および継続に対して一定の効果があった。運動を行う前の身体的な痛みや疲労状態、運動への意欲や具体的方法への興味が運動習慣の向上や定着に影響を与えることが示された。働く女性の運動習慣は、意欲を考慮し、身体的負担が少なく、簡単で具体的な方法の教授が効果的である。 |