天下足球网

戻る

本学教員が実施した医薬品の費用対効果評価の報告書が公開されました

戻る

 ヘルスイノベーション研究科 (SHI) 教員の下畑宣行准教授が主担当として関わった費用対効果評価の報告書「Cost-effectiveness evaluation of ropeginterferon α-2b for polycythemia vera patients who have an inadequate response or intolerance to existing treatments」が、Academic Technology Assessment Group (ATAG) Reports 2024; 2(7) として、国立保健医療科学院保健医療経済評価研究センター (C2H) のホームページ上に公開されました。

 

(公開された報告書)

https://c2h.niph.go.jp/results/atag/atag_rep_20240207.pdf

 

報告書の概要

 「医薬品、医療機器及び再生医療等製品の費用対効果評価」制度における対象品目として選定された[C2H2301]ベスレミ (一般名: ロペグインターフェロン α-2b) に関して公的分析が実施されました。

 ロペグインターフェロン α-2bは、既存治療が効果不十分または不適当な真性多血症治療に用いられる薬剤です。公的分析においては、分析対象集団とそれに対応する比較対照技術などを含む分析枠組みが設定されます。この分析において、細胞減少療法を必要とする患者で既存の細胞減少療法の治療歴がない患者集団、およびヒドロキシカルバミドが不耐容または抵抗性の患者集団の2つの集団が設定され、前者に対してはヒドロキシカルバミド、後者に対してはルキソリチニブが比較対照技術としてそれぞれ設定されました。

 この分析枠組みに沿った公的分析の結果、ロペグインターフェロン α-2bの増分費用効果比は、ヒドロキシカルバミドを比較対照とする集団においては1,000万円/QALY以上の区間 (最も大きい区間)、ルキソリチニブを比較対照とする集団では費用が増加する区間にそれぞれ属する可能性が高いことが示唆されました。

 この結果は中央社会保険医療協議会 (中医協) 費用対効果評価専門組織によって承認された後、この結果に基づき中医協総会において薬価の引き下げが行われることが了承されました。

 

(医薬品、医療機器及び再生医療等製品の費用対効果評価)

 2019年4月より運用が開始されており、市場規模が大きい、又は著しく単価が高い医薬品?医療機器が対象とされる。その評価結果は保険償還の可否の判断に用いられるのではなく、現行薬価制度の補完として一旦保険収載された上で価格調整に用いられる。

 

(増分費用効果比)
 医療における費用対効果の程度を表す指標として用いられる。新しい医薬品や医療機器を使用した際に生じる追加の費用を、新たに得られる追加の効果で割ったものとして計算される。一般的に、この値が小さければ小さいほど費用対効果は良い、大きければ大きいほど費用対効果は悪い、ということになる。効果の指標としては、現在主にQALY (質調整生存年) が使用される。

 

前のページに戻る