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「ME-BYOサミット神奈川2024」報告

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 11月7日(木曜)と8日(金曜)の2日間にわたり、箱根町にある湯本富士屋ホテルにおいてME-BYOサミット神奈川2024が開催され、イノベーション政策研究センター(CIP)のメンバーをはじめ、本学の関係者が登壇しました。このセッションの概要を紹介します。

【報告】

セッション② 未病を改善し、ウェルビーイングな働き方を実現する

【モデレーター】黒河 昭雄(本学ヘルスイノベーション研究科 講師)

【パネリスト】吉田 穂波(本学ヘルスイノベーション研究科 教授)

 吉田教授から、CIPのメンバーが4年にわたり参画している産学医連携プロジェクト「働く女性健康スコア」(※)に関連して、性別にかかわらずあらゆる人が活躍できる働き方の実現や、心と身体の健康づくり等の課題解決に向け①横のつながりを作る情報交換、②WEBアンケート調査、③メディアによる情報発信、④オンラインイベントから得られた成果を報告しました。

 

※継続的に多領域?複数の企業における女性の健康指標を調査?分析する取り組みで、DEI(ダイバーシティ?エクイティ?インクルージョン)を牽引する三菱地所株式会社、株式会社ファムメディコと本学CIPの協働研究により、産業界で重要課題とされるDEIの理念を基に一人一人の特性を尊重し、誰もが心豊かに安心して働ける環境整備に取り組んでいます。

 セッションのまとめとして、働く幸せを大切にし、従業員のウェルビーイングを実現することが企業の成長や地域活性化の原動力になることが確認されました。

 

 

セッション③ 未病改善を支える、科学技術と専門家のちから

【モデレーター】成松 宏人(CIPセンター長 兼 本学ヘルスイノベーション研究科 教授)

 成松教授から、CIPの未病指標プロジェクトについて、今までの成果とこれからの展望を紹介し、続いて、各パネリストから専門家の果たす未病における取り組みについて発表をしました。

 特に印象に残ったのは、田村 功一先生(横浜市立大学)の、「医師にとって未病は憧れである」の言葉でした。

 病院の医師は、病気の患者さんをで治すのがその仕事ですが、多くの医師の考える究極の目標は、患者さんが病気になる前に未病の状態でくい止めることです。このセッションでのやり取りから、病院の医療や治療で開発された科学技術が、日常生活の場である未病領域とつながってきていることを実感しました。まさに、「憧れ」を「現実」に変える道筋ができてきていることが見えてきたセッションでした。

 

 セッションのまとめとして、セルフコントロールのための未病コンセプトの重要性と、そのための最先端の科学技術の積極的活用を確認しました。

 

 

セッション⑥ 自己管理をサポートする新たなME-BYOテクノロジー

【モデレーター】鄭 雄一(本学 副学長 兼 ヘルスイノベーション研究科長)

 開始にあたり、鄭副学長から、県の未病指標の現在の取り組みと未来の展望について紹介し、WHOとの連携、活用イメージ、アカデミアや産業界との連携スキームについて触れました。パネリストの取り組み紹介では、山本機構長からTOMMOゲノムコホートについて、福田教授から腸内細菌叢のメタゲノムの「茶色い宝石」について、榛葉執行理事からアミノ酸に着目した研究開発について、グレン教授からは肝臓疾患と生活習慣の関連についてお話しいただきました。

 

 セッションのまとめとして、多様な分野のコラボレーションによる多視点からの研究が重要であること、そこから多角的に個人の全体像を理解した上で、行動変容を促す方策を考えていくことが肝要であることを確認されました。

 

 

セッション⑦ データ利活用で導く未病改善の効果的なアプローチ

【パネリスト】渡邊 亮(本学ヘルスイノベーション研究科 教授)

 セッションでは様々なデータを活用することで科学的根拠に基づいた政策立案(EBPM)や個別化健康?医療技術の促進に繋がる可能性が議論されました。

 渡邊教授から、CIPが県と協働して取り組むプロジェクトを紹介し、データ活用によるEBPMに向けた期待や課題について論じました。他の登壇者からは、保健医療データ基盤構築の事例やAIを活用した最先端の研究事例などが紹介されました。

 

 セッションのまとめとして、デジタルツールが無関心層へのアプローチとして有効に作用し、コミュニティなどの社会的データも含めて、社会基盤のインフラとして生活を豊かに支えていくことが確認されました。

 

 

セッション⑧ 未病産業におけるレギュラトリーサイエンスを考える~提供側と使う側の双方の視点から~

【モデレーター】大谷 泰夫(本学 理事長)

【パネリスト】昌子 久仁子(本学 シニアフェロー)

 大谷理事長から未病コンセプトの根幹について紹介した上で、レギュラトリーサイエンスのあり方について議論されました。

 

 セッションのまとめとして、未病の価値はベースとしての安心に加えて、有効性という観点だけではない有用性にあることを前提にルールの必要性やリテラシー、情報開示の重要性などが確認されました。

 

 

セッション⑨ いのち輝く。楽しく未病改善!~未病とエンタメの可能性~

【パネリスト】ユウ ヘイキョウ(本学ヘルスイノベーション研究科 教授)

 黒岩知事、大和市?古谷田市長、慶應義塾大学医学部?宮田教授、横須賀シニア劇団「よっしゃ!!」?横田プロジェクトリーダーとユウ教授が登壇しました。未病改善の実証事業の1例ともいえる、健康教育(演劇的な手法を用いて生活習慣の改善を目指す)の紹介と知事との即興劇の実演(大和市長や横田リーダーも参加)を実施しました。聴衆の多くの方から、大変参考になったとの感想を頂きました。

 

 セッションのまとめとして、演劇やeスポーツなど楽しみながら自然に続けられる未病改善の取組が大切であることや地域コミュニティの役割が重要でとなることが確認されました。

 

 

ランチョンセッション① SHI(ヘルスイノベーションスクール)から生まれた、イノベーターたちの挑戦

【モデレーター】久保田 悠(本学ヘルスイノベーション研究科 講師)

【パネリスト】稲垣 大輔(本学ヘルスイノベーション研究科 修了生)

       沼田 誉理(本学ヘルスイノベーション研究科 修了生)

       大貫 詩織(本学ヘルスイノベーション研究科 在学生)

 未病サミットでの人材育成に関する議論等を契機として開設されたSHIで学ぶイノベーター達の挑戦について、修了生の稲垣大輔さん、沼田誉理さん、在学生の大貫詩織さんから、ご紹介いただきました。SHIを志したきっかけ、在学中の学び、今後の挑戦についてお話しいただき、SHIは、彼らのキャリア形成で大きなターニングポイントであり、ヘルスケア分野でのイノベーションを起こす人材を輩出する場であることを大いに垣間見ることができたセッションでした。

 

 セッションのまとめとして、ヘルスイノベーションスクールでの学びが現在のキャリアに活かされていることが確認されました。

 

 

総括セッション 新たな地平に向けて

【モデレーター】鄭 雄一(本学 副学長 兼 ヘルスイノベーション研究科長)

【パネリスト】大谷 泰夫(本学 理事長)

 最初に、過去4回、2015年、2017年、2019年、2022年に開かれた未病サミットを振り返り、出発点を確認しました。その上で、今回のサミットの9つのセッションからの特に強いメッセージに触れました。基調講演では、「小さな習慣の積み重ね」、セッション①では「当事者が幸せな生活を送るためのイノベーション」、セッション②では「働き方と健康の調和」、セッション③では「バイオマーカーと縦断研究」、セッション④では「多様なステークホルダーが集う場づくり」、セッション⑤では「人の役に立つという生きがい」、セッション⑥では「多彩なコラボで個人全体を知り行動変容を促す」、セッション⑦では「社会的データと無関心層へのアプローチ」、セッション⑧では「安全性を前提とした有用性」、セッション⑨では「五感にうったえ楽しく自然に」などです。ついで黒岩知事、大谷理事長、ザウ会長、パール教授、松本実行委員長のコメントをいただき、最後に議論を取りまとめて大会メッセージを採択しました。多くのセッションでSHI?CIPのメンバー(教員、職員、学生、OB?OG)が大活躍しました。これまでの活動の良い総括になるとともに、今後の大きな方向性が見えたサミットになりました。

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