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戻る「女性の健康プロジェクト」の研究論文が国際学術誌にてオンライン公開されました
戻る 本センターでは、三菱地所株式会社および株式会社ファムメディコとの共同研究により、丸の内をはじめとする都心部にて働く女性の心身の健康状態を同定し、それに影響を与える要因との明らかにすること関連を目的とする「女性の健康プロジェクト」を推進しています。
このほど、働く女性の月経随伴症状の重症度とプレゼンティーズムの関連性に関する岡本真澄研究員と本プロジェクトメンバーによる研究論文が、国際学術誌「International Journal of Environmental Research and Public Health」にてオンライン公開されました。
研究の概要
本研究の目的は、東京都心で働く女性の月経前症状(PMS)及び月経中の心身の症状の重症度と、仕事中のパフォーマンスであるプレゼンティーズムとの関連を明らかにすることである。
本研究の対象者は、「まるのうち保健室」プロジェクトの健診を受診した女性で、 PMSと月経中の心身の症状の重症度は、症状が発生する頻度で測定した。プレゼンティーズムは10点満点で評価し、月経関連の症状がある時期の得点を症状がない時期の得点で除した相対的プレゼンティーズムを計算し、月経関連の症状の重症度との関係を解析した。さらに、重回帰分析において健康状態や職場環境要因を投入し、月経随伴症状とプレゼンティーズムの関係に影響する要因を探索的に検証した。
その結果、解析対象者238人のうち、1)PMSも月経中の症状も全くないもしくは軽症である者が119人(50%)、2)重度のPMSのみの者が50人(21.0%)、3)重度の月経中の症状のみの者が23人(9.7%)、4)重度のPMSも月経中の症状もある者が46人(19.3%)であった。4グループ間で相対的プレゼンティーズムに統計的有意な差(p<0.01)が見られ、グループ2)は平均69点(SD: 21)、グループ4)は平均69点(SD: 27)と相対的プレゼンティーズムが特に低下した。重回帰分析では、年齢、残業時間、不安?抑うつが、月経随伴症状と相対的プレゼンティーズムの関係に影響する要因である可能性が示された。
結論として、重度のPMSのある者や、重度のPMSと月経中の心身の症状がある働く女性は、出勤していても生産性が落ちた状態にあり、それが企業の業績にも影響を与える可能性が明らかになった。生活習慣の改善や症状緩和のためセルフケアなど個人の取り組みに加え、企業や行政が職場や労働環境の改善に取り組むことが重要と示唆された。
発表論文
The Association between Menstrual Symptoms and Presenteeism: A Cross-Sectional Study for Women Working in Central Tokyo
吉田教授からの公開にあたってのコメント
昨年発表の論文に続き、女性の健康プロジェクトの成果が社会に共有できることをうれしく思います。
本研究は、女性が健康に生きる社会や文化の醸成に取り組む貴重な産学連携プラットフォームの成果であり、イノベーション政策研究センターのメンバーが研究デザインの立案やデータ解析に貢献しています。このような科学的根拠が産業界に還元され、女性が能力を発揮しやすい職場や社会づくりが実現することを期待しています。
お問合せ
神奈川県立保健福祉大学イノベーション政策研究センター
教授 吉田穂波
Email: cip@kuhs.ac.jp