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「女性の健康プロジェクト」の研究論文が国際学術誌にてオンライン公開されました

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 本センターでは、三菱地所株式会社および株式会社ファムメディコとの共同研究により、丸の内をはじめとする都心部にて働く女性の心身の健康状態を同定し、それに影響を与える要因との関連を明らかにすることを目的とする「女性の健康プロジェクト」を推進しています。

 このほど、働く女性の月経困難症の重症度と心理的苦痛の関連性に関する本プロジェクトの研究論文が、国際学術誌「International Journal of Environmental Research and Public Health」にてオンライン公開されました。

研究の概要

 本研究の目的は、東京都心で働く女性の月経困難症の重症度と心理的苦痛との関連を明らかにし、仕事のストレス因子における影響を検討することである。

 本研究の対象者は、「丸の内ほけんしつ」プロジェクトの健診を受診した女性で、 月経困難症の重症度は月経痛により日常生活が障害される程度とした。精神的苦痛スケールであるK6の得点をアウトカム因子とし、精神的苦痛と月経困難症の重症度との関連を評価するため、重回帰分析を行った。

 その結果、働く女性289人のうち18.3%が月経困難症の中等度/重度群であり、重回帰分析では、中等度/重度の月経困難症が心理的苦痛の上昇と有意に関連していたが、この優位性は、月経前症候群(PMS)などの婦人科疾患や職場関連因子で調整すると見られなくなった。また、仕事の裁量権があると優位に心理的苦痛が低下し、月経困難症による心理的苦痛をも緩和する可能性が示唆された。

 結論として、月経困難症は、働く女性における心理的苦痛増加と関連している可能性があり、PMS(特に心理的症状)や裁量権がその影響因子である可能性が明らかになった。働く女性の月経困難症やPMSを改善することでその心理的苦痛を緩和させる可能性があることから、職域において女性特有の婦人科疾患に対処することの重要性が示唆された。

発表論文

The Association between the Severity of Dysmenorrhea and Psychological Distress of Women Working in Central Tokyo—A Preliminary Study

DOI: https://doi.org/10.3390/ijerph20217021

吉田教授から論文公開にあたってのコメント

 本プロジェクトは、多領域にまたがる企業の方々が働く女性の健康をサポートするための取り組みであり、貴重な産学連携の成果が論文の形で認められ、社会と共有されることを嬉しく思います。私たち、イノベーション政策研究センターのメンバーが研究デザインの立案やデータ解析、分析を行い、女性の月経関連疾患が精神面に与える影響を明らかにしました。この成果が産業界に還元され、女性が能力を発揮しやすい勤務環境となることを期待しています。

お問合せ

神奈川県立保健福祉大学イノベーション政策研究センター

教授 吉田穂波

Email: cip@kuhs.ac.jp

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